キノコの山は食べ盛り hachikun 機動戦艦ナデシコ、お下劣ギャグ 「ドクター!!」 「あら、どうしたのお兄ちゃん。珍しく血相変えて」 「…ラピスに何を教えた?」 「え?どういうこと?」  いきなりの絶叫。無口で冷酷な黒の王子様には珍しいことだった。 「…お、俺のラピスが…ラピスが…」 「ちょ、ちょっとお兄ちゃん、発言があぶないわよ?いったいどうしたの?」  十歳やそこらの女の子、しかも赤の他人を俺のもの呼ばわりする黒い王子様。…いろんな意味であぶないかもしれない。 「ラピスが…ラピスが…」 「はいはい落ち着いて。その歳で何ペドってるの。しっかりなさい」 「…せめて兄バカくらいにしといてくれ、イネス」 「あら、結構冷静なのね♪」 「…あ、あのなぁー…」  はいはい、バカいってないで先いって先。        その時、アキトはユーチェリスで仮眠をとっていた。  人間である以上、いくら復讐の鬼でも24時間戦い続ける事はできない。ましてアキトは五感が麻痺しているのだ。疲労感を感じない分、休む時はちゃんと休んでおかないとブッ倒れるまで自分の体調不良にすら気づかない恐れがある…そんなイネスたちの忠告と、自分はいいがラピスには休息をというアキトの考えの元、ユーチャリスには時おりこういう時間が訪れるのであった。  ユーチャリスのオモイカネ「ダッシュ」もこんな時は極力静かにしている。ユーチャリス自体もなるべく静かに運航している。こんな時のユーチャリスは静かな海原のクルーザーのように快適だ。血で血を洗う死の艦とはとても思えなかった。 「…キノコノコノコ〜♪」  そんな中、意味不明の歌を歌いつつ廊下を歩くラピス。上機嫌らしい。無表情でボソボソ歌うにしては内容がこのうえもなく不似合いだがそも、ラピスが知る歌は著しくジャンルが偏っているのだ。アキトはラピスにあまり歌を教えようとしないため、ラピスの知る歌は多くがイネスとエリナが教えたもの。特に熱心なのは意外にもエリナで、童謡や唱歌の類は間違いなくエリナの仕業。意外に彼女、子煩悩なのかもしれない。逆にイネスは「声が綺麗だからね」と女性ボーカルの歌をいくつも教えた。ちなみにその全てがアキトの子供時代に火星で流行ったものばかりで、遠回しにアキトの里心を刺激し戦いをやめさせよう、という意図が丸わかりだったりするのはここだけの話。  さて、それはいい。今問題なのはラピスの歌う意味不明の歌だ。 「…タヌキノコ〜♪」  わけのわからない歌を意味もなく綺麗な声で歌い、歩くラピス。エリナたちがほめるだけあって本当に綺麗な澄んだ声だ。内容はともかく。 「タケノコノ…(ニヤリ)♪」  眠っているアキトのベッドに近寄ると、一瞬だけ笑ったラピス。おもむろにシーツの中に手をいれ、               「キノコ♪」         「のぅ゛わぁっ!!♪」        …何をやったかは全くの不明だが、アキトは次の瞬間のけぞり飛び起きた。 「こ、こここここらラピス!!おまえ、だしぬけに何掴んでんだ!!」 「え?アキトのキノコ」 「や、ややややややめろバカっ!!放せっ!! 「…どうして?アキト、気持ちいいんでしょ?」 「!″#$%&!?」  リンクというのはこういう時不便である。なまじ純粋な子供の問いかけに反論できないアキト。不思議そうなラピス。  ちなみに普通の女の子がはじめてこんな事すれば男は痛がる。そりゃそうだ。女の子には付いてないのだから加減がわかるはずがない。ましてやラピスの歳でそれがわかるのはいろんな意味でやばい。  しかし、ラピスにはリンクがある。アキトは知らないがイネスやエリナとアキトの情事もラピスは知らぬ顔でしっかりモニターしており、力加減は映像からだいたいのとこを計算してある。この歳の子が男の(ピー)の握り具合を、しかも世界有数のスーパーAIの手を借りて計算…いや、やめよう。もはやなにも言うまい。  ちなみにアキトの五感、ほとんどが麻痺しているのは御存知の通り。だが(ピー)は別だ。イネスたちが必死にナノマシン除去を行った結果である……ていうかふたりとも、そんなとこより先に味覚を戻してやれよオイ。 「だ、だからラピス放せ…ひゃっ!!」 「…アキト、かわいい。イネスといっしょの時みたい♪」 「ま、まてラピス、頼むから放せ、放して、放してくれお願い頼む!」  このままでは変態鬼畜野郎になってしまう。そうアキトは焦ったのだろう。男性最強にして最悪の弱点を年端もいかない美少女に無邪気にモミモミされ、ベッドの上でのたうち、もがいている。かなりなさけない。  …ていうかアキト、なぜ抵抗しない? 「…イネスの時と違う。白いのが出ない」 「ま、待て、ちょっと待てラピス!!」 「パフパフの方がいい?」 「!!!ま、まてこらラピス、シーツに潜って何す……!″#$%!!!」       「あら…それは良かったわね。気持ちよかった?」 「変態か俺はっ!!…いやそんな事よりどうすんだイネス。ラピスが変な道にめざめたら…」 「…◯歳の女の子にフェラまでさせといて何いってんだか」 「ぐあ…そ、それは…」 「ま、それはでも仕方ないわよお兄ちゃん。確かにラピスがそういう行動に走ったのは由々しき事態だけど、原因を作ったのはいったい誰?」 「……それは」 「それに、いくら五感がおかしいからって木連式柔まで納めたあなたなら拒絶できるでしょう?どうして抵抗しなかったの?」 「!そ、それは…」 「はぁ、やっぱりお兄ちゃんって鬼畜よね。キノコ遊びなんてラピスに教えたのはやっぱり失敗だったかしら?」 「や、やっぱりおまえかぁっ!!」 「あ、やだ、ちょっとお兄ちゃん♪きゃー♪♪」  怒り心頭でイネスに襲いかかるアキト。なんか嬉しそうなイネス。 (……)  それをまた、監視カメラで興味深く鑑賞しているラピス。こうしてある午後のひとときは、ゆっくりと過ぎさって行くのであった。まる。       「あ、ここにもキノコ♪……あれ?でもこれ、タケノコみたい。かわいくない」 「……(涙)」<ゴート・ホーリー ちゃんちゃん♪ 【あとがき】 …ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。