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あとがき

 よくあるキャスタールートもどきです。違うのは、キャスターを助けたのはあくまで「彼」であるという事。ただ彼はあくまで一般人でありますし、かりにも魔術師である士郎がいたのでキャスターは士郎と契約。もちろんそこには「彼」を戦争に巻き込まず士郎を犠牲にするという思惑があったのですが、士郎にとんでもない異能があるのに気づき考えを変える。生き残って彼を育ててみたいと考える、という設定になっています。決して「キャスタールート」にはならない。いわば「キャスター先生ルート」とでも言いますか。
 まぁもっとも、設定が膨大すぎて没にしてしまいましたが。
 ちなみに士郎は「彼」と相容れない。正体を知ってからは特に。しかしキャスターが間に挟まる事により「こういうひともいるんだな」と思うようになるという設定。決して相容れない。だけどアーチャーと対峙した彼がそうなったように「俺なりの道」をそこに見出すという流れでした。
 なお本編のUBWルートの流れを汲まないため、キャスターは「彼」が実はかなり戦えるひとだという事を知らない事になってます。優しい彼を巻き込むまいと聖痕の浮きでた士郎ときちんと契約したためますます「彼」は本戦からは遠ざかり、「彼」もそこまでするキャスターの意志を尊重したため「彼」は結局戦いを得ずに終了。
 なお、もう没った話なのであらすじだけここに。
 …………
 セイバーは出る予定でした。ただしそのセイバーは黒化しており、バーサーカーのクラスで召喚されてしまう。キャスターに鍛えられたとはいえ士郎の魔力と技術では狂化させる事ができず、一度だけ凄まじい戦いをした後は昏倒、あとは常に居眠り状態になります。なぜか士郎を知っている黒い少女。「伝えなくてはならないこと、言わなくてはならないことがあるのに…今のわたしではそれがわからない。わからないのです」そんなうわごとをつぶやく彼女。そして最後は……と戦い……みたいな流れを考えていました。
 この話での最大の強敵はヘラクレスセイバー。彼はギルすらも苦心の末に倒してしまう。だけど桜を殺してしまったために士郎に徹底抗戦を決意させてしまう。
「イリヤ。俺が勝ったらもう戦いをやめてくれるか?あいつを殺したような事をもうしないと誓うか?」
「…ええいいわお兄ちゃん。わたし、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンがもしエミヤシロウに負けたらなんでも言うことを聞くわ。…うん、確かに誓ったわよ。なんなら正式に契約書書いてもいい。
 でもねおにいちゃん。それは勝てたらの話。そんなことは起こらないわ。わたしのセイバーはあらゆる歴代サーヴァントの中でも無敵といってもいい。最強じゃない。無敵なの。この違いは大きい。キャスターごときがわたしのセイバーにどう対抗するというの?」
 そんな会話も過去のこと。英雄王を倒した時点でイリヤは聖杯として起動し、既に意識はなかった。
 そして激突する士郎たちとヘラクレスセイバー。おそるべき『射殺す百頭』の炸裂に士郎最強の護りも砕ける。キャスターの魔術も効かない。もはや絶体絶命という時にふと動き出す黒化セイバー。全くの戦力外でもう消えるはずだった彼女が放つ「ありえないはずの『約束された勝利の剣』」。英雄王との戦いで回復しきってなかったヘラクレスセイバーの残りの命をほとんど飲み尽くし、瀕死になったヘラクレスに士郎は一度だけ見たアーチャーの歪んだ剣で勝負をしかける。
「少年よ。私の可愛い魔術師(メイガス)を頼んだぞ」
「…ああ」
 そうしてヘラクレスは消え、意識のないイリヤと起動した聖杯が残った。
 アーチャーは既に倒れていた。士郎陣営にいない凛は既に戦線離脱していて遠くから見ている。
「あいつがアーチャーになる可能性ねえ。…でもねアーチャー。あの衛宮くんはどうも貴方にはなりそうにないわよ?そんな暇なさそうだものね」
 くっくくと楽しそうに笑った。
「キャスターひとりが聖杯を手にしたのなら危険だけど…衛宮くんがいるなら問題ないでしょうね。彼女は衛宮くんに甘いもの。イリヤスフィールを助けることが聖杯の破壊とイコールだとしても、それを断ることはできないでしょう。彼女なら壊れた聖杯の残滓の魔力だけで衛宮くんの一生くらいの時間は現界できそうだし」
 そして、きびすを返した。
「今回は勝ちを譲るわ衛宮くん。次は…負けないわよ?あの子のためにもね」
 ひとり静かに、去っていった…。
 …………
 とまぁ、こんな内容になるはずでした。
 この後キャスターは正式に寺に戻り、「彼」との日々を刻みはじめます。そして士郎の先生というか導師も勤め、愛するひととの暮らしも含め、幸せな生涯を過ごすことになります。
 対する士郎は助けたイリヤにさんざん振り回されます。なにより「契約は成立したんだからわたしはシロウのものだわ」と断言するイリヤは士郎の押しかけなんとか状態に。余命の問題はキャスターの手で対策。かわりの肉体とはいかないまでも聖杯としての機能を完全停止し古代魔術の補強により十年くらい生きられるようになったイリヤは「それでいいわ。かわりに死ぬまでシロウはわたしのもの。だれにも渡さず独占しきってやるんだから」と微笑む。実際イリヤは士郎の子を生む。後にその子がアインツベルンに連れ去られそうになったり色々あって別の戦いにもなるがそれは別の物語として保留。
 ラストは、三十年の果てに冬木にたたずむ士郎&キャスター(with子イリヤ)という設定でした。イリヤを見送った士郎と「彼」を見送ったキャスターの会話。うちにこないかと聞く士郎に「いいえ、もう満足よ」と消えていくキャスター。得るに得られなかった家庭生活という「救い」を堪能し尽くしたキャスターはにっこり笑って去っていく。そんな内容でした。



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