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プロローグ

 ようやく進路も決まったなのは、フェイト、はやての面々だが、なにしろ三人とも小学生である。製作中であるはやてのデバイスのこと、なのはの事などもあり、地球の周回軌道上にいるアースラの中で研修の名の元にまず基本的な勉強をする、という事になっていた。
 はやての騎士たちは既に仕事があった。アースラには三人娘とユーノ、アルフだけがいた。フェイトもふたりが心配だったのか事件のない今はアースラに入りびたり、なのはの研修につきあってあれこれと世話をやいていた。
 そんな中、ひとつの出来事があった。
 武装局のお偉がたがなのはを尋ねてきた。テスタロッサ事件からなのはを知っていた現場の人間は「ぜひあの子を武装局へ!」と強く強く推薦していたわけだが、お偉がたはなのはの戦闘を記録でしか知らなかった。彼らも元は現場の人間だったわけで、皆がそうまで推す小さな天才少女の力を一足はやくこの目で見たかった。彼らは示し併せて都合をつけアースラを訪れ、なのはに全力全開の戦闘を見せておくれと頼んだのだった。アースラの人間たちが止めるのもきかず。
 結果として、アースラの訓練室は全壊した。大人たちの懇願を実に素直に聞き入れた彼女はまさに全力全開で戦闘を行ったのだ。アースラ詰めの武装局員では全く相手にならず、フェイトが飛び入り参加しての全力戦闘に移るに至っては過去の英傑たる老人たちも空いた口が塞がらなかったものだ。あんな子たちがここまでの戦闘をやってのけるのかと。
 そしてとどめは『スターライト・ブレイカー』。模擬戦用のターゲットに向かってなのははそれを全開にしたのだが、実戦叩き上げ、しかも自分より強い者とばかり戦ってきた彼女は力の加減を知らなかった。蒼白になったフェイトが「なのは、それはダメ」と止めようとしたがもう遅い。ターゲットはもちろん、AAAクラスの魔術公使にも耐えうるはずの訓練室の結界までもがなのはの桃色の魔力光の前にあっさりと吹きとび、アースラ本体に損傷が出るほどの大騒ぎになってしまったのだった。
 ひたすら恐縮し、ごめんなさいと平謝りのなのは。いいんだよ君のせいじゃない、こりゃあ面白くなってきたわいとジジ馬鹿半分に大喜びの老人たち。
 辺境生まれの天才少女、高町なのは。アースラ級戦艦すらもぶちぬくとんでもない子供。その名は老人たちの口からさらに噂となり、ミッドチルダのその筋に噂としてあまねく広がった。
 
 そして、その事件は起きたのである。



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