眼の前に、ちょっと困った光景が広がっていた。
ここは僕の部屋。男ひとりの部屋だし、来た事のある人も基本的に身内だけ。唯一の例外がアイドルレポートの時の愛ちゃんと絵理ちゃんか。最近仲良しの夢子ちゃんだってここにきた事はもちろんない。今は僕が性別カミングアウトずみという事もあって、以前より女人禁制度は増している。てか律子ねえちゃんですら最近はちゃんと気をつかってくれている状況。そりゃそうだ、自分で言うのもなんだけど、トップアイドルの男の子の部屋に女の子がうかうか出入りしていたらどうなるか。たとえ当人たちがどうだろうと絶対問題になる。
なのに。
「落ち着きますねえ絵理さん。ぽっかぽかだし」
「うん……涼さんの(こたつの)中は気持ちいい?」
「いやその、ていうか絵理ちゃん変な省略しないで」
こたつに女の子ふたり。私服。いや、つまり愛ちゃんと絵理ちゃんなんだけどさ。
そして目の前には、派手さも何もないけど愛情を感じる美味しい料理。
どうしてこうなった?
僕は何か選択肢を間違えたのか?
う〜ん。
頭が熱っぽくてさっきからちっとも回らない。疲労のせい?それとも……。