工学博士、紐緒結奈(ひもおゆいな)。きらめき市出身。彼女は21世紀の日本、いや世界を代表する巨人のひとりであった。 彼女にはたくさんの逸話がある。本来飛び級してもおかしくないのに普通に高校に在籍、しかし同時に伊集院財閥の支援のもとに独自の研究をしていた。そして大学にも進まず名目上の就職、実際は伊集院系の研究機関にそのまま在籍する事となった。 だが、彼女がその名声を決定的にしたのはもっと後の話。日本が大恐慌を起こし一気に凋落してからだった。 これは、そんな天才科学者紐緒結奈の小さな物語である。